2021.11.1

Trench coat

こんにちは。
本格的に寒くなり、いよいよ冬の訪れを感じますね。そんな中アウターをお探しの方も多いのではないでしょうか。

ということで本日は秋から春にかけて街中で見かけることが多いアウターのひとつ、トレンチコートの魅力や歴史をご紹介したいと思います。

トレンチコートといえば今でこそ男女問わず愛用されるスマートでスタイリッシュな定番アイテムでもありますが、元々はなんと軍用に生み出されたミリタリーアイテムでした。
「トレンチ」というワードは直訳すると塹壕、つまり戦争において身を守るために陣地の周りに掘る穴のことを指しています。
つまりトレンチで兵士が着用するためのコートこそがトレンチコートなのです。

始まりは1820年代、スコットランドの発明家チャールズ・マッキントッシュが生み出した特殊なゴムを張り合わせ防水性と撥水性を備える生地と、それに目を付けレインコートを作り出したトーマス・ハンコックの存在でした。
このふたりによって誕生したレインコートは上流階級の人々のためのものでしたが、その後アクアスキュータム社とバーバリー社でそのレインコートをもとに開発されたのが今のトレンチコートの原型です。
1879年にトーマス・バーバリーが発明したギャバジンという硬さのある耐久性と撥水性のに優れた生地は現在でも採用されています。

タイロッケン・コートと呼ばれる前ボタンが無くウエストをベルトで締め上げて留める形のコートが前身となり、1915~18年の第一次世界大戦中に多少のディテールの変化もありつつ大戦終結頃には現在のトレンチコートとほぼ変わらない形のものが誕生しました。

トレンチコートには特徴的なディテールがいくつかあります。
ガンフラップと呼ばれるライフルで発砲した際の肩への衝撃を和らげる役割を担っていた肩から胸にかけて付いている布や、階級を示す憲章を吊るすためのエポレットという肩部分に施されたベルトなどがその代表的なものになります。
エポレットは戦闘中に肩から下げた荷物がずり落ちるのを防いだり、倒れた兵士を救出する際に引きずるための持ち手となったりと戦争中に徐々に役割が変化していったようです。

ストームシールド、またはアンブレラヨークと呼ばれる肩から背中にかけてフタのように被さり二重構造になった生地と袖口についたアームベルトは雨風を防ぎ、湿気や寒さから兵士たちを守る機能性を備える大事な構造でした。
そのほかにもスロートラッチ(チンストラップ)という襟裏に付いた小さなベルトも雨風の侵入を防ぐ役割をしていました。

負傷した腕でも脱ぎ着しやすいようにセットインスリーブからラグランスリーブへ形が変わったり、手榴弾や水筒などを吊るすためにベルトにDリングが追加されたりと戦場の中での実用性を高める変化があり、いまのトレンチコートのシルエットが完成したのです。

第一次世界大戦当初は経済的に上流階級出身の将校たちしか着ることの出来なかったトレンチコートはまさに勇敢さを象徴するものであり、その後安価に手に入るようになると兵士や民間人までもが憧れていたトレンチコートを身に纏いました。
そして時は流れ、映画や雑誌を通して定番ファッションとしてトレンチコートが根付きました。

現在ではファッションとしてのデザインと捉えられているディテールも戦争の中で兵士たちのために考案された戦うための機能だったわけです。
服を通して時代背景を知ると悲しくもなりますが、このようにしていま平和な時代に私たちはファッションを楽しめているんですね。

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お気に入りを見つけて、寒い季節を乗り越えましょう!

ライター:aoki